PSBとは、メダカ飼育に役立つ光合成細菌のことです。
初めてPSBを使う方は、与え方や培養方法などに戸惑う方が多いでしょう。
この記事では、PSBの培養方法や与え方、メリット・デメリットに加え、PSBの役割や注意点、商品選びのポイントまで徹底解説します。
メダカ飼育におけるPSBの使用について疑問がある方は、ぜひご覧ください。
PSBとは

PSBとは光合成細菌のことで、太陽の光を利用して有機物や無機物を分解する微生物です。
河川や湖、沼、排水口などあらゆる場所に生息しています。
光合成を行う細菌(バクテリア)を総称して光合成細菌と呼びますが、一般的にメダカ飼育用に販売されているPSBは「紅色非硫黄細菌」という種類です。
PSBは、水中のアンモニアや硫化水素などを分解して水質を浄化し、PSB自体が動物性プランクトンや魚のエサになります。
加えて、PSBの分泌物には水草の成長を促進する効果があります。
メダカや熱帯魚のような観賞魚の飼育や農業、水質浄化など、あらゆる場面でPSBが活用されています。
和香公式YouTubeでPSBについて詳しく解説をしておりますので、こちらもぜひ合わせてご視聴ください。
メダカ飼育におけるPSBの役割
PSBは、メダカ飼育においてさまざまな役割を担います。
メダカ飼育におけるPSBの主な役割は以下の通りです。
- 針子や稚魚のエサ
- 動物プランクトンの餌
- メダカの栄養補給
- 水質浄化・保全
針子や稚魚のエサ
メダカの針子(ふ化したばかりの稚魚)や稚魚は、粉末のエサを上手に食べられず、餓死することがあります。
PSBは、針子や稚魚にとって摂取しやすいエサとして活用されています。
動物プランクトンの餌
PSBは、メダカのエサとなるミジンコやゾウリムシなどの動物プランクトンのエサになります。
PSBを利用して水槽内の動物プランクトンを増殖させれば、メダカが常にエサを捕食できる環境を整えることができます。
メダカの栄養補給
PSBはメダカのエラや皮膚から吸収され、成魚の栄養補給にもなります。
特に、屋外飼育で冬越しをするメダカの栄養補給に役立ちます。
水質浄化・保全
PSBは、エサの食べ残しや排泄物から発生するアンモニアや亜硝酸など、メダカにとって有害な成分を分解します。
さらに、他のバクテリアや動物プランクトンを活性化させ水質を浄化・保全します。
PSBの与え方
PSBをメダカに与える方法は簡単で、カルキを抜いた水や飼育水に規定の量を添加するだけです。
与える量は製品によって異なるため、製品の説明書や利用ガイドを確認する必要があります。
PSBを過剰に与えてしまうと水質が悪化するリスクがあるため、規定量を守って使用しましょう。
稚魚のエサや水質浄化のために少量だけ添加する場合は、霧吹きやスポイトを使って与える方法がおすすめです。
メダカ飼育にPSBを使用するメリット・デメリット

メダカ飼育でPSBを使用するメリットはたくさんありますが、デメリットもいくつかあります。
初めてPSBを利用する際は、事前にメリット・デメリットを理解しておくことが大切です。
メリット
メダカ飼育にPSBを利用するメリットは以下の通りです。
水質浄化・保全にかかる手間を削減できる
メダカ飼育をする上で大変な作業が水換えですが、PSBには水質浄化・保全の効果があるため、水換えの頻度を減らすことができます。
針子や稚魚の生存率を上げる
メダカの針子や稚魚は、エサを食べるのがまだ上手くないため、餓死してしまうケースも珍しくありません。
PSBは針子や稚魚にとって摂取しやすいエサであると同時に、針子や稚魚のエサとなる動物プランクトンを増殖します。
PSBを使用することで針子や稚魚が常に微生物を捕食できる環境を整え、生存率を上げることができます。
メダカを健康に飼育できる
メダカを健康に飼育するには、きれいな水が欠かせません。
メダカは体が弱っていると水カビ病などの病気にかかりやすくなります。
PSBは水質を浄化し、メダカの栄養補給にもなるため、メダカの免疫力が上がり、病気を予防する効果が期待できます。
水槽の立ち上げを早める
水槽内に十分な量のバクテリアが増えて、有害物質を分解する仕組みを作ることを「立ち上げ」と呼びます。
メダカを健康に飼育するためには、水槽の立ち上げが重要です。
PSBは他のバクテリアのエサになり、活性化させて数量を増やす働きをするため、水槽の立ち上げを早める効果があります。
メダカが快適に過ごせる飼育環境を整えやすい
PSBは水草の成長を促進する効果もあり、水草はメダカの産卵場所や隠れ場になります。
PSBを使用することで、水質浄化やエサとなる動物プランクトンの増殖、水草の成長促進など、メダカが快適に過ごせる飼育環境を整えやすくなります。
メダカの色揚げ効果が期待できる
PSBに含まれているカロテノイドは、赤色や黄色の色揚げ(色合いの向上)に効果があります。
PSBは、以前から金魚の色揚げ効果を高めるためによく使われています。
最近はメダカの品種改良が進み、鮮やかな色合いの品種が増えたため、メダカの色揚げにも使用されるようになりました。
デメリット
メダカ飼育にPSBを利用するデメリットは以下の通りです。
においが強い
PSBは、強烈なにおいがします。
最近ではにおいが軽減されたタイプも販売されていますが、無臭ではないため、室内飼育の方はにおいが気になる可能性があります。
飼育水などに入れることで逆にアンモニアなどをバクテリアが処理するため臭いが抑えられる効果につながります。また熟成することで臭いも抑えられていきます。
過剰に使用すると水質が悪化する
PSBを過剰に使用すると、活性化したバクテリアが酸素を大量に消費し、水槽内が酸欠状態になり、水質が悪化してしまう恐れがあります。
商品の説明書や利用ガイドをきちんと読み、規定の量を守りましょう。
PSB光合成細菌取扱説明書 (マニュアルのリンクを入れる)
PSBの培養方法
PSBは、自分で培養して増やすことができます。
培養方法は簡単なので、大量に使用する方は培養して使用すると経済的です。
PSBの培養方法としてよく知られているのが、ビール酵母が含まれている市販の整腸剤・エビオス錠を使用する方法と、専用の培養液を使用する方法の2通りです。
この章では、それぞれの培養方法をご紹介します。
準備するものは以下の5点です。
- PSBの原液(種菌として使用)
- エビオス錠(ビール酵母)または専用の培養液
- ペットボトルなどの透明な容器
- 水道水(カルキ抜きは不要)
- 漏斗(じょうご)や計量カップ(容器に液体を注ぐために使用)
エビオス錠(ビール酵母)を使用する方法
エビオス錠(ビール酵母)を使用する培養方法は以下の通りです。
1.ペットボトルなどの透明な容器にPSBの原液を1割から5割ほど入れます。原液の割合が多いほど培養の成功率が上がるので、不安な方は3割以上入れるのがおすすめです。
2.ペットボトルの満杯近くまで水道水を入れ、エビオス錠を投入します。エビオス錠の量は、500mlの容器を使用する場合で2〜4錠程、1Lなら4〜8錠程を使用します。雑菌の繁殖を防ぐため、カルキを抜いていない水道水を使用してください。
3.できる限り空気が入らないようにするため、容器のぎりぎりまで水を注いで蓋をして、容器を軽く振って攪拌します。
4.容器を日当たりが良い場所に置き、時々容器を振って攪拌しつつ培養が進むのを待ちます。
※和香としてはエビオス錠(ビール酵母)での培養を推奨しておりません。200種以上いる光合成細菌のうち、観賞魚用に適した光合成細菌の配合を行っており、光合成細菌毎に必要とする栄養分が異なります。
エビオス錠やビール酵母でも育つ光合成細菌の組み合わせの場合は、培養がうまくいく場合がありますが、そうでない場合は培養が失敗することになります。
和香では観賞魚用のPSBには専用の培養液を使用いただくことをお勧めさせていただいております。
培養液を使用する方法
PSBの培養が初めての方には、専用の培養液(培養飼料)を使う方法がおすすめです。
原液と培養液(培養飼料)がセットの商品が双方の相性が良く成功しやすいので、不安な方はセットで購入するのが良いでしょう。
10Lの培養の場合の手順になります。培養の量に応じて同じ割合で培養ください。
- 容器としてペットボトル(2Lで5本分)またはウォータータンク(10L用)を用意します。
- PSB培養エキス(黒い液体約100ml)を(1)で準備した容器入れます。
※ペットボトル2Lの場合は5等分(約20ml)して投入ください。 - 種用にPSB培養エキスPSB光合成細菌(赤い液体約1000ml)を続けて入れてください。
※ペットボトル2Lの場合は5等分(約200ml)して投入ください。 - 水道水を容器一杯に入れてください。
※嫌気性のため空気が極力入らない量まで一杯に入れてください。 - 培養には(1)日照、(2)温度(28~35度推奨)、(3)光合成細菌のための餌が必要になります。
- 4~10月の間は屋外の直射日光に当たる場所においてください。
- 11~3月の間は室内で日の当たる場所や植物用ライトを照らしてください。
- そのまま1週間~2週間ほどたつと真っ赤になってきますので好みの濃さになるまで培養を続けてください。
※時期や環境により真っ赤にならない場合もあります。これはPSBを構成している複数の光合成細菌の増殖割合で赤くなる光合成細菌の割合が少ない場合に起こりますが、オレンジやピンクなどの場合でも同様の効果が期待できるPSBに仕上がっていますのでご安心ください。


培養方法は動画でも詳しく解説をしておりますので、ぜひこちらも合わせてご視聴ください。

メダカ飼育にPSBを使用する際の注意点
メダカ飼育にPSBを使用する際には、以下の点に注意しましょう。
- 培養が失敗することもある
- PSB以外の飼育環境も重要
培養が失敗することもある
PBSは、培養して使用するとコスパが良いですが、培養に失敗することもあります。
日当たりや温度の条件が揃わない場合、雑菌が混入してしまった場合などは上手く培養できません。
また、エビオス錠(ビール酵母)と原液の相性が悪い場合も、培養がうまくいかずに失敗することになるため、エビオス錠(ビール酵母)での培養はおすすめではありません。
繰り返しにはなってしまいますが、和香では観賞魚用のPSBには専用の培養液を使用いただくことをお勧めさせていただいております。
培養の際には下準備をしっかり行い、培養に必要な環境を整える必要があります。
PSB以外の飼育環境も重要
メダカを元気に育てるためには、PSB以外の飼育環境も重要です。
PSBさえ与えていれば安心というわけではありません。
水換えや水槽の掃除、エサの量や頻度など、日々のお世話を手を抜かずに行いましょう。
PSBの選び方のポイント
初めてPSBを購入する場合、たくさんある商品の中からどれを選べばいいか悩む方が多いでしょう。
この章では、PSBの選び方のポイントを4つご紹介します。
- PSBの製品には原液と培養液(培養飼料)の2種類がある
- においの強さは商品によって異なる
- コスパを重視するなら濃縮タイプがおすすめ
- 初心者の方は使用方法がわかりやすい商品を選択する
PSBの製品には原液と培養液(培養飼料)の2種類がある
PSBの製品には、メダカ飼育に使用する原液と、原液を培養して増やすために使う培養液(培養飼料)の2種類があります。
購入したPSBをメダカ飼育に使用するだけなら原液、自分で培養して増やして使用するなら原液と培養液(培養飼料)の両方が必要です。
原液と培養液(培養飼料)は見た目が似ているので購入の際は間違えないように注意しましょう。
においの強さは商品によって異なる
PSBはにおいが強烈ですが、最近はにおいが軽減された商品も販売されています。
室内飼育やベランダでの飼育など、においが気になる場合は、においが軽減されているタイプがおすすめです。
軽減タイプは、あくまでにおいを抑えている商品であり、無臭ではないことは留意しておきましょう。
なお、和香のPSBはほとんど臭いがしないと、「かずまさ【アクアリウム】」さんのYouTubeチャンネルでも紹介をされています。
コスパを重視するなら濃縮タイプがおすすめ
通常のPSBより高濃度の「濃縮タイプ」も販売されています。
濃縮タイプは使用量が少なく済むため、1回分あたりの価格で考えると基本的に通常のPSBより経済的です。
また、置き場所も同じ回数分の通常の商品よりコンパクトに収まります。

初心者の方は使用方法がわかりやすい商品を選択する
PSBは使用方法や用量を守って使用することが大切です。
初めてPSBを使用する方は、わかりやすい説明書や利用ガイドが付いている商品を選択すると失敗を防ぎやすくなります。
最近は、使用方法が動画でわかりやすく解説されている商品も多数あります。
事前に説明書や利用ガイド、解説動画などがあるかを調べて、使用方法がわかりやすい商品を選択しましょう。
和香では、各商品に取扱説明書をご用意しております。
まとめ
この記事では、メダカ飼育におけるPSBの培養方法や与え方、メリット・デメリットに加え、注意点や商品選びのポイントまで徹底解説しました。
PSBは、正しく使用すればメダカ飼育においてメリットがたくさんあります。
最近は、においが軽減されたタイプや濃縮タイプ、専用の培養液がセットになったタイプなど、さまざまなPSB製品が販売されています。
自分にあった商品を選び、PSBを上手に活用して元気で健康なメダカ飼育を実現しましょう。
この記事が、メダカ飼育を楽しむ方のお役に立てば幸いです。
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