金魚のお腹がパンパンになっている場合、腹水病の可能性があります。
腹水病は、細菌感染が原因でお腹に水が溜まる病気です。
この記事では、金魚の腹水病の治療方法や予防方法に加えて、腹水病以外でお腹がパンパンになる原因の紹介や、よくある質問にも回答します。
金魚のお腹がパンパンに膨らんでいて心配な方は、ぜひ参考にしてください。
【金魚のお腹がパンパン】腹水病とは
腹水病とは、運動性エロモナス菌という細菌感染による内臓疾患が原因で、消化器系がダメージを受け、お腹に水が溜まる病気です。(腹水病の原因については、諸説あります)
運動性エロモナス菌(エロモナス・ハイドロフィラ)は、淡水に常在している細菌です。
金魚が元気な時には基本的に感染しませんが、ストレスなどが原因で金魚の免疫が低下している時や、傷口がある時に感染しやすくなります。
腹水病の症状
腹水病の主な症状は、以下の通りです。
- 活動量が減る
- 食欲がなくなる
- 水槽の底で動かなくなったり、ふらふらとした泳ぎ方になる
- お腹がパンパンに膨らむ
- 白い糞が出る
腹水病は、致死率が高い病気です。
お腹が風船のようにパンパンに膨らんでいたり、白い糞が出ていたりする場合は、重症の状態のため、早急に治療を行う必要があります。
腹水病の治療方法
金魚の腹水病の治療方法は、主に以下の3通りです。
※金魚の腹水病は、現時点では治療方法が確立されておらず、治療方法は飼育者によって異なります。
- 塩浴
- 薬浴
- 薬餌
塩浴

腹水病の初期の段階では、塩浴で治療できる場合があります。
塩浴とは、金魚を0.5%の濃度の塩水に入れる療養方法です。塩浴によって、金魚の体力回復や免疫力アップが見込めます。
塩浴は腹水病に直接の効能はありませんが、金魚の治癒力を高めて、病気から回復しやすい状態にします。
塩浴の手順
塩浴の手順は以下の通りです。
- 塩浴用に用意した容器に、カルキ抜きと水温合わせをした水を入れ、エアレーションを設置して金魚を移す。
- 塩分濃度が0.5%になる量の塩を時間をおいて少しずつ投入する。(水1Lに対して塩5gが目安)
- 1日1回の全換水をしながら5日から1週間程度、様子を見る。
塩浴の詳しい手順や塩の量、注意点などについては、以下の記事を参考にしてください。

薬浴
薬浴とは、魚病薬を入れた水に金魚を浸して病気の治療をすることです。
病気が進行している場合は塩浴での治療が難しく、細菌感染症に聞く魚病薬を使った薬浴が効果的です。
薬浴は、金魚に薬害によるダメージを与える可能性もあります。薬の説明書や注意事項をよく読み、用法・用量をきちんと守って使用しましょう。
腹水病に効果が期待できる薬を3つご紹介します。
- 観パラD
- グリーンFゴールド 顆粒
- エルバージュエース
観パラD
観パラDは、穴あき病などエロモナス菌による細菌感染症の治療効果が見込める魚病薬です。
他の魚病薬と比べて金魚への負担が少なく、バクテリアや水草にもあまり影響がないため、魚病薬を使用した経験がない人でも使いやすい薬です。
グリーンFゴールド 顆粒
グリーンFゴールド顆粒は、赤斑病や尾ぐされ病など幅広い細菌性感染症の治療に有効な魚病薬です。
リキッドタイプの「グリーンFゴールド リキッド」もありますが、成分が異なるため、腹水病には類粒の方を使用しましょう。
グリーンFゴールド顆粒は、観パラDよりは強く、エルバージュースよりは弱い薬です。
観パラDでは効き目がないけれども、エルバージュースでは強すぎて金魚の負担が心配という場合におすすめです。
エルバージュエース
エルバージュエースは、松かさ病や穴あき病、尾ぐされ病、エラ病などさまざまな細菌感染症の治療に高い効果が見込まれる魚病薬です。
グリーンFゴールド顆粒よりも強い効果が期待できる一方で、金魚への負担も大きい薬です。
金魚が弱っている場合や使用方法に問題がある場合は、薬害によるダメージを与えてしまう可能性もあるので、使用については慎重に検討する必要があります。
観パラDやグリーンFゴールド顆粒で効果がなかった場合は、エルバージュエースの使用を検討しても良いでしょう。
薬餌
薬餌とは、薬を染み込ませたエサを金魚に与えて治療する方法です。
腹水病の金魚はエサを食べないことも多いため、金魚がエサを食べる場合にのみ試せる方法です。薬餌には観パラDやグリーンFゴールド顆粒を使用しますが、薬害が出るリスクもあるため慎重に検討しましょう。
また、薬浴と薬餌を同時に行うと金魚の負担が大きくなってしまうので、同時に行わないようにしましょう。
薬餌の手順
- カルキ抜きした水に、薬浴する場合と同じ濃度になる量の薬を入れる
- 薬を入れた水にエサを浸す(30分程度)
- エサを取り出し、日光の当たらない場所でキッチンペーパーなどの上に置いて乾かす
- 金魚の様子を観察しながら1日あたり2~3粒程度与える
腹水病と併発しやすい病気
金魚が腹水病と併発しやすい病気は、主に以下の3つです。
- 松かさ病
- ポップアイ
- 赤斑病
松かさ病
松かさ病は、魚のうろこが逆立って、松ぼっくりのようになる病気です。
松かさ病の原因は、はっきりとは解明されていませんが、エロモナス菌も原因のひとつとされています。
初期症状では、うろこが少しずつ浮いてきたり、体が膨らんできたり、動きが鈍くなったります。
ポップアイ
ポップアイは、金魚の目が出目金のように飛び出してしまう症状のことです。
細菌やウィルス、寄生虫の感染などさまざまな原因で発症し、エロモナス菌もポップアイの原因となります。
症状の進行に伴い眼圧が上がり、末期になると目が取れてしまうこともあります。
赤斑病
赤斑病(せきはんびょう)は、体表が出血・充血し、赤い斑点ができる病気です。
エロモナス菌が原因で発症します。ヒレの付け根や肛門などが特に赤くなりやすい箇所です。
症状が進行すると全身を擦りむいたようになったり、うろこが剥がれたりします。
腹水病を予防するには?

腹水病は治療が難しい病気のため、日頃から予防をすることが大切です。
この章では、腹水病を予防するためのポイントを2つご紹介します。
- 金魚にストレスを与えない
- エサの与え方に気を付ける
金魚にストレスを与えない
ストレスによって金魚の免疫が低下すると運動性エロモナス菌に感染しやすくなるため、金魚になるべくストレスを与えないことが腹水病の一番の予防になります。
金魚にストレスを与えないためには、濾過フィルターの設置や適切な頻度の水換えを行い、金魚にとって快適な水質や水温を維持することが重要です。
また、充分な広さの水槽で飼育し、水草や砂利、エアレーションなど過ごしやすい環境を用意することも大切です。
エサの与え方に気を付ける
金魚に合わないエサや古いエサを与えたり、エサの量が多すぎたりすると消化不良を起こし、運動性エロモナス菌に感染しやすくなってしまいます。
また、消灯前にエサを与えると消化不良を起こしやすくなるため、消灯時間の2時間前からはエサを与えないようにしましょう。
排泄物やエサの食べ残しはアンモニアなどの有害物質を発生させるため、水質も悪化しやすくなります。
適切な量の金魚が消化しやすいエサを与えましょう。
腹水病以外で金魚のお腹がパンパンになる原因
腹水病以外で、金魚のお腹がパンパンになる原因として、妊娠やエサの食べ過ぎ、便秘などがあります。
金魚の状態を見分けるためのポイントをいくつかご紹介しますので、参考にしてください。
金魚が妊娠している場合
金魚のメスが妊娠して産卵の準備ができると、オスの金魚の頭や顔、胸びれ付近に追い星と呼ばれる白い斑点ができます。(追い星は確認が難しい場合もあります)
また、メスの産卵準備期間には、オスがメスを追いかける追尾行動がみられます。
金魚が便秘になっている場合
金魚は通常、よく便をするため、便をしている様子がみられない場合は、便秘の可能性があります。
また、太く長い便が出ている場合は便秘によって溜まっていた便が一気に出たと考えられます。
転覆病(金魚が水面に浮く)や沈没病(金魚が沈む)の症状が出ている場合も、便秘によって体内にガスが溜まっていたり、便が溜まっていたりする可能性があります。
金魚がエサを食べ過ぎている場合
金魚にとって適切なエサの量は、与えてから1分以内で全て食べきれる量が目安です。
1分以内で食べきれない量のエサを与えている場合は、金魚がエサを食べ過ぎている可能性があります。エサの食べ過ぎは消化不良を起こしやすく、金魚の負担になります。
適切な量のエサを与えるように注意しましょう。
【金魚のお腹がパンパン】よくある質問
この章では、金魚のお腹がパンパンに膨らんでいることに関する、よくある質問に回答します。
金魚のお腹がパンパンに膨らんでいるけど元気なら問題ない?
妊娠が原因の場合は、異常ではないため対処は必要ありませんが、それ以外の場合では、何らかの対処が必要です。
腹水病の他、消化不良や便秘、エサの食べ過ぎなど、健康状態に問題が生じている可能性が高いといえます。
異変に気付いたら、エサの与え方の見直しや塩浴、薬浴など、早めの対処をしましょう。
金魚のお腹がパンパンに膨らんでひっくり返っているのはなぜ?
金魚のお腹がパンパンに膨らんでひっくり返っている場合、内臓疾患や消化不良、エサの食べ過ぎにより、腸内にガスが溜まっている可能性があります。
消化不良やエサの食べ過ぎの場合は、エサの質や与え方の見直しを行いましょう。水換えを適切に行い、金魚に適した水質や水温にすることも大切です。
病気が疑われる場合は、塩浴や薬浴などを検討しましょう。
金魚のお腹がパンパンに膨らんでいるけど破裂することはある?
金魚のお腹がパンパンに膨らんでいる場合、症状が悪化すると破裂して死んでしまう可能性もあります。
腹水病などの病気が原因の場合、重症になると金魚が衰弱し、破裂する前に死ぬケースがほとんどです。
金魚のお腹が片側だけ膨れているのはなぜ?
金魚のお腹が片側だけ膨らんでいる場合、腎腫大症(ミトラスポラ症)の可能性があります。
腎腫大症とは、イトミミズや赤虫などの生き餌に混入している原生生物が金魚の腎臓に感染し、腎臓が肥大化する病気です。
基本的には、生後1年以内の時期の金魚にしか発症しないといわれています。
金魚には腎臓が2つありますが、片方だけに感染するケースが多く、片方だけが肥大化していくことで身体が曲がっていきます。
現時点では、腎腫大症の治療法は確立されていません。
塩水浴やヒーターを使って水温を上昇させるなどして金魚の負担を減らし、体力の回復に努めるのが実施できる対策となります。

まとめ
この記事では、腹水病で金魚のお腹がパンパンになった場合の治療方法や予防方法に加え、腹水病以外で金魚のお腹がパンパンに膨らむ原因などについて解説しました。
大切なペットである金魚を長生きさせるためには、飼い主が金魚の異変にいち早く気付いて対応することが重要です。
日々のお世話の中で、金魚をよく観察して体調の変化を見逃さないようにしましょう。
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